shop9.jpg

| HOME | Real Life | Real Life 4 「Groove ! 気持ちよく叩こう」 |

更新日 2017-03-16 | 作成日 2007-11-25

Real Life 4 「Groove ! 気持ちよく叩こう」

2006/12/21

ドラムの選び方 ~ 基本4点セット

(Mr.X)
前回のリアル・ライフではドラムを始めた動機について話して頂きましたが、今回は、もう少し突っ込んでドラムの練習方法について話して頂けますか?

(Yuji Tanaka)
オッケー!いいよ!

(Mr.X)
読者は素人の方も多いと思うので、ドラム・セットやスティックの選び方から話を始めましょうか?確か、最初のドラムセットはお兄さんが買ってくれたんですよね?

(注)ドラム・セット 大小様々なドラムやシンバル等の打楽器を一人の演奏者が演奏可能な配置にまとめたもの。これといったセオリーはないが、通常は、バスドラ、スネア、タム、シンバルで構成される。

(注)スティック 平たくいえばドラムを叩くための撥。一般的に自宅にドラムを設置できる人はそんなに多くはないので、ドラムを練習する場合、お気に入りのスティックを持ってスタジオに通うことになる。

(Yuji Tanaka)
そう。トラ柄のヤマハのドラム、フルセットで4万5千円だった。

(注)独断と偏見で書きますが、ドラムを初めて購入する場合、Pearl YAMAHA TAMAから選ぶのが無難です。国内メーカーだから何かあったときに対処しやすい。世界的に見ても、最高峰のレベルに位置するメーカーです。

(Mr.X)
その後も、スタジオで、またステージでで、色々なドラムセットを叩くことになると思いますが、何か拘りはあります?

(Yuji Tanaka)
う~ん、まずは生音が気持ちよく鳴っている事かな。もちろん適度にミュートをする場合が多いけどね。音に輪郭があるのが好きかな・・・。昔はレコーディングの時はメーカーとか材質とか曲調によって相当変えていたんだよ。

(Mr.X)
ちなみにバスドラのサイズは?

(Yuji Tanaka)
22インチ。24インチだったときもある。この辺は状況に応じてだね。デカイ方が迫力があるしね。ドンドンドンってね。お腹に響くような音が出るよね。それとは逆にアコースティックのときは18インチを使ったりね。やっぱり他の楽器とのバランスかな。

(Mr.X)
この前、ツェッペリンのDVDを見たんですけど、昔のバンドって機材がデカいんですよね。PAとも関係するんでしょうけど、ほとんど編集できなかった割には迫力のあるサウンドが録れている。

(注)ツェッペリン レッド・ツェッペリンのこと。イギリスを代表する伝説的なロック・バンド。華麗なルックス、ドラマチックな曲の展開等々、異彩を放った。

(Yuji Tanaka)
昔のバンドはそうかもね。機材の精度が今とは違うからね。当時は、それでバランスが取れていたんだと思うよ。

(Mr.X)
スティックは何を使っていますか?

(Yuji Tanaka)
Pearlの110だね。

(注)Pearl 110 俗にジェフ・ポーカロ・モデルなんていわれている。スティックの中では定番中の定番で、まずはこれで良い音が叩けるように練習すれば良いと思う。スティックは消耗品なので、結局、多くのものを試すことになる。

(Mr.X)
スティックは、楽器店に行くとたくさんあって迷うんですよね。重量を量る秤が置いてあったり ^^;

(Yuji Tanaka)
重さももちろん大事だけど数字を気にするより、振ってみて2本とも同じニュアンスの物がいいよ。重心のバランスが1本1本違うからね。手元の方に重心があると音が軽めの感じになるし、先の方にあれば質感が出て音に芯が出やすいよね。僕は後者を好んでいたよ。あと反りとかは平らなところで転がせばすぐに判るし木目も真っ直ぐなほうが折れずらいよね。

(Mr.X)
あ、そうそう、ドラム・セットそのものじゃないですけど、イスは大事ですよね?

ドラミングの肝は腰の安定度

(Yuji Tanaka)
大事!腰の安定度に関わる。ある意味、イスの安定度がドラミングのすべてを左右するよ。

(注)イス 一般的にはドラムスローン等と表記されていますが、椅子のことです。

(Mr.X)
ドラムが上手い、下手っていうのは重心を如何にコントロールしているかってことと同義ですからね。

(Yuji Tanaka)
深いことを言うね。重心をコントロールするっていうことは大事だよ。うん、上手なドラマーは重心をコントロールするのが巧みだよね。

(Mr.X)
重心といえば、イスのどこに座るのか? 姿勢も千差万別ですよね?

(Yuji Tanaka)
うん。若い頃は、どちらかというと前のめりだったかな。あれこれ試してみたんだけどね。後ろの方に座ったり、姿勢もシャンとしてみたり・・・

(Mr.X)
僕も叩き始めた頃は、背筋を伸ばしてイスの真ん中に座って叩いていたんですけど ^^ これといったセオリーはないんですよね。ライブにも行くし、DVDなんかも良く見たりするんですけど、人によって千差万別。猫背の人もたくさんいる。

(Yuji Tanaka)
結局、気持ち良く叩けているかどうかが大事なんだと思う。僕は「走りすぎる」っていうのがウィーク・ポイントだったから、あれこれ工夫したよ。最近は背もたれが付いたイスもあるんだよね。使ったことはないけど・・・

ドラムの練習方法 ~ まずは好きな曲をコピーしてみよう

(Mr.X)
ドラム・セットに関していえば、各社から入門セットの類もたくさん出ているから、それを買うのも手ですよね。それでは、ドラム・セットやスティックの話はこの辺にして、練習方法の話に移りましょうか?

(Yuji Tanaka)
やっぱり、最初はコピーだよね。前も話したと思うけど、ビートルズやストーンズのレコードを良く聴いたよ。良く聴いたら、出来るところから真似してみる。最初からドラムセットを叩く必要もない。机なんかで、リズムを取ってみるだけで良い。

(注) ストーンズ ローリング・ストーンズのこと。ミック・ジャガーとキース・リチャーズはロックの代名詞といっても過言じゃない。「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」はキリン・ビールのCM曲として使用されていたので、聴けば分かる人も多いと思います。

(Mr.X)
最初は、皆そうですよね。フェイバリットを何度も聴いたということですが、譜面は読めます?

(Yuji Tanaka)
じっと眺めていれば、少しは理解できるという程度かな ^^;

(注) 譜面 クラシックならいざ知らず、音楽はまず「耳」から入るべきだと思う。譜面から入ると音の羅列に興味がいってしまい、全体の響きを聞き逃してしまう。聴感上、同じに聞こえるのなら、とりあえずOK、聴こえなければ「同じような響き」を模索してみるのが賢明。

(Mr.X)
そもそもドラム譜って、統一的な採譜基準がないんですよね。ドラムに限らず、楽器を練習するということは「耳を鍛える」ということと同義かもしれない。

(注) ドラム譜 いわゆるバンド・スコアを購入するとドラム譜が掲載されていますが、定められた記譜法はありません。既存の西洋式五線譜の時間軸部分のみ流用した不完全な表記で対応しているのが現状です。

(Yuji Tanaka)
今は学校とかあるけど、僕の時代はたまに楽器店でドラム教室が開かれていたくらいかな~。だからほとんどレコードを聴いてコピーしていたんだよね。振り返れば、間違ったこともやっていたかもしれない。でもね、回り道をするということはけして悪いことじゃないんだ。

(Mr.X)
最初は、耳で感じ取った単純なことから初めて、徐々に複雑なことにチャレンジしていく。確かに、今は最初から正解を求めすぎるきらいがある。

(Yuji Tanaka)
もちろん、適切な指導者がいて、最初から知っていたら良かったなと思うこともあったけど・・・。 結局、気持ちよく叩けていれば、それで良いんじゃない?

ルーディメンツに取り組もう!

(Mr.X)
もう少し話を突っ込みましょうか。コピーも大事なんですが、ルーディメンツなどの基礎練習も大事ですよね?

(注)ルーディメンツ 端的にいえば、ドラムのフレーズ集。スネア・ドラムに要求される不可欠なテクニックが学べる。楽器の練習には基礎練習とコピーが不可欠。真面目に練習していたら、どこかで通り抜ける関門です。

(Yuji Tanaka)
ルーディメンツか。取り組んだ記憶はあるよ。ドラミングの基本的なパターンを示した教材だよね?1から取り組んだというより、何かの機会に取り組んだことがあるという程度かな。おっ、こんな本があるんだ。僕はどこまで出来るかな?挑戦!って感じ。

結局、コピーをしているうちにバンド活動を始めるわけじゃない?色々なシュチエーションに自分を置くことによって上達していったんだよ。上手く叩けないところがあれば、やっぱり考えるしね。昔は、とにかく練習したよ。

(Mr.X)
一言にドラムの練習といっても幅広い。友達を見つけてバンドを組むということも、ドラムが上達する方法の一つですよね。もう少し、個人練習について聞かせて頂きますね。

実は、僕もドラムは叩くし、良くスタジオに行って練習したりしています。田中さんも、スタジオに入って個人練習はされますよね?一般的にはスティックとチューナー、あとはメトロノームを持っていくのかな?お金があれば、ペダルとスネアですよね。

(Yuji Tanaka)
そうだね、貸しスタジオで個人練習する時は最低スティックとペダルは持って行きたいよね。安全地帯Ⅸの時は、暫く間が開いていたからスタジオを借り切ってフルセットを組んで連日個人練習をしたよ。

(Mr.X)
練習にもあれこれポイントはあると思いますが、上達のポイントはなんでしょう?少し大きな聞き方かもしれませんが・・・

(Yuji Tanaka)
まずは正確なショットとダイナミックスを心掛けたらどうかな。スピードを早くしたり、ダイナミックスを変えたり、アクセントを移動したり、単純なフレーズでも凄い訓練になる。音符を変えてみる、例えば、2分音符から 2拍3連符なんていう変化も良い練習になるよ。

(Mr.X)
それをメトロノームに合わせて練習してみる。

(注)メトロノーム 楽曲のテンポを示す器械のこと。以前はアナログの振り子式が主流だったが、今はデジタルが全盛。ドラム練習用としては、デジタルで、ヘッドホンが使えるヤツを購入すると便利。

(Yuji Tanaka)
最初は、4分音符や8分音符で良いんだ。それをメトロノームに合わせて、5分とか、10分とか練習してみる。1つできたら、次みたいな感じでね。バスドラだけ、それにスネアを加えてみる、シンバルはどうだとか・・・ 気持ちよく叩けばよい。

(Mr.X)
テープに録ってみるのも良いですよね。スタジオに行くと天井マイクがありますから・・・

(注)天井マイク 音楽スタジオに行くと、デッキと天井マイクが予めセットされていることが多い。これは無料で使えるので、スタジオに行く際は空テープ(スタジオによっては空MD)を持っていくと良い。

(Yuji Tanaka)
テープに録ると、あれこれ自分の弱点が分かるじゃない?

(Mr.X)
大抵の人は赤面するんですよね ^^; テンポは一定しないし、強弱もバラバラ。レコードして記録されている音が如何に凄いかが分かる。

(Yuji Tanaka)
録音といえば、最初のレコーディング、そう前回も話したと思うけど、陽水さんの「俺の事務所はキャンプ」で当時大きい音が出るから全てリムショットで叩いていたんで「それじゃあ、ダメだ」って言われてね。違う叩き方で何度も録りなおした記憶があるよ。大変だったな~。

(Mr.X)
そんなことがあったんですね。僕も、最初に録ったテープには驚いた記憶がある。なんやかんやで、まともに叩けるようになるまで1年くらい掛かった記憶が・・・ 音量は、力加減よりも、ショットの早さで決まるなんてことに気付いたのもテープのおかげだった。

(Yuji Tanaka)
そうなんだよね。力任せに叩いても音が詰まるだけだし、丁度いいところがあるんだよね。最初はゆっくりとしたテンポで始めて、確実に音を鳴らし切れているかチェックする。スネアのどの辺を叩けばどんな音が鳴るのか、シンバルのどの辺を叩けばどんな音が鳴るのか、ひとつひとつチェックしていく。ダイナミックも大事だけど、一定の音量を維持できるということも大事だよ。

(Mr.X)
そうなんですよね。タメたり、走ったり・・・ そんなグルーブも大事で、曲を面白くする一つの要素だと思うんですが、一定のリズム、一定の強さで叩き続けるということも大事なんですよね。

(Yuji Tanaka)
左右交互だけじゃなく、右だけ、左だけ、手だけじゃなく足も・・・ バリエーションはたくさん考えられる。そんな試行錯誤が、アレンジするとき力になってくれる。

アクセントの移動もこんな感じで・・・

(実際に机を叩きながら実践してくれる)。
裏の取り方とか分かるよね?

(さり気なく机を叩いているだけなんだが、テープに残ったプレイは実にシビア)

(Mr.X)
アクセントの移動が上手に出来ると、複雑なフレーズに付いていけるようになりますよね?

(Yuji Tanaka)
そうだね。アクセントを好きなところへ入れられるように練習したり、特に3連のアクセント移動とかパラディドルのアクセント移動なんか凄く練習になるよね。

(注)パラディドル ルーディメンツの中の代表格。オルタネイト一辺倒で練習してきた人が、次に取り組むべき課題。パラディドルが消化できると表現力の範囲が格段に拡がる。

(Mr.X)
他に大切なことってあります?

(Yuji Tanaka)
体幹をしっかり保って重心をくずさないことかな。本当にこれが大事!!これでかなり苦しんだ。ひどい時は体がバラバラになってしまう感じ・・・わかるかな?で、僕にとっては近年小指が大事だって再認識したんだよ。安定感も増すしね。それがわかってからスティックの先まで思いが伝わる感じがつかめたんだ。

(注)スティックの握り方 スティックの握り方は千差万別、色々な握り方がある。専門的にはグリップといい、大別するとマッチド・グリップ、レギュラー・グリップの2種類があります。持ち方による優位性は全くありません。一般的にはJAZZ畑がレギュラー、それ以外がレギュラーが多い気がしますが、曲の中で使い分ける人もいるのであれこれ試してみましょう。

(Mr.X)
安全地帯は曲調も豊かだから、ドラミングは大変ですよね?

(Yuji Tanaka)
う~ん、どうかな。テクニック的には昔の方が高度なことをこなしていたかな。晩年になるほど、シンプルなプレイになった。

(Mr.X)
僕も、安全地帯の曲はあれこれコピーしましたよ。「熱視線」「ラスベガス・タイフーン」「エクスタシー」。そういえば、「エクスタシー」のツーバスは難しかったな。あれを曲の最後までやるのはしんどい。

(Yuji Tanaka)
「エクスタシー」のあれはディレイだよ ^^

(Mr.X)
え、そうなんですか?あれがやりたいが故に、ペダルを買った記憶があるんですが・・・

(Yuji Tanaka)
いや、あれはディレイなんだ。あの頃は、そういうテクノロジーにも凝っていてね。ローランドのシンセを使い始めたのもこの頃だった。まだ試作品だったと思うけど、メーカーが提供してくれてあれこれ試していた時期だった。

(注)ローランドのシンセ 映像だと横浜スタジアムでのライブで確認できる。ドキューン、ドキューンと響いているのがそれ。

気持ちよく叩こう!

(Mr.X)
時間も少なくなってきました。お忙しい中、今日はどうも有り難うございました。今回、田中さんの口からは「気持ちよく叩こう」という言葉が頻繁に出てきました。気持ちよく叩くには練習が必要ですが、出来ることから始めて、ひとつひとつ積み重ねていけば良いんですよね?

(Yuji Tanaka)
最初から複雑なことが出来る必要はないんだよ。学校に行ったりするのもひとつの方法だけど、あれこれ一人で悩んでみるということも大事だと思う。少し大袈裟な表現かもしれないけど、真実を発見する喜びといえば伝わるかな。一生懸命練習して、外へ出て行けば可能性は拡がっていくと思うよ。

(注)音楽学校 一言に音楽学校といっても幅があり、YAMAHA等が月々云千円で開講しているものもあれば、年間数百万の学費がかかるところもある。最近は、音楽スタジオでも講座が開かれているので、行きつけのスタジオが出来たら体験入学してみるのも一つの手段。個人で真摯に悩みつつ、どうしても分からないことは巧い人に聞くと上達も早いと思う。友達も出来やすい。